■audio-technica ATH-M70x / B.A.L レビュー

購入まで

私はヘッドホンを使用する際、基本的にはモニターヘッドホンを愛用していて、普段はbeyerdynamic DT1770PROやSONY MDR-CD900STを利用しています。

本当はFOCALのFOCAL Spirit Professionalが欲しかったのですが、手頃なのは今出回っていません。

そんな中M70xを知人が手放すという事で、安く譲って貰いました。

Mシリーズは全部試聴した事ありますが、その中で自分で使いたいなと思ったのはM70xでした。

オフィシャル的にはエンジニア用途のMシリーズフラッグシップモデルで、超高解像度再生がウリのレコーディングやミキシング用途のヘッドホンという事ですね。

スペックは?

型式:密閉ダイナミック型
ドライバー:φ45mm、CCAWボイスコイル
出力音圧レベル:97dB/mW
再生周波数帯域:5~40,000Hz
最大入力:2,000mW
インピーダンス:35Ω
質量(コード除く):280g

能率は低めでインピーダンスもスタジオ用、モニター用としては低めのインピーダンスの部類です。

定番モニターのCD900STは63Ωで、SENNHEISER HD6MIXは150Ω、ベイヤーのヘッドホンだと250Ωとかの数字はよく見かけます。

付属品は?

●付属品:φ6.3mm標準/φ3.5mmミニ 金メッキステレオ2ウェイプラグ、ケース、ポーチ

カールコード(着脱式)
片出し1.2m、ストレートコード(着脱式)
片出し3m、1.2m

● 別売:交換イヤパッド HP-M70x、交換コード:1.2m着脱カールコード(BK)、3m着脱ストレートコード(BK)、1.2m着脱ストレートコード(BK)

コードが三種類あるのは良いですね。
自分用では扱いやすい1.2mコードを使っています。

測定データ

 

補正してない生グラフ

http://goldenears.net/board/GR_Headphones/5596285

上記のデータにDFカーブ+αのGE独自の補正を適用すると…

補正済みのグラフ

聴感上に近いこのグラフになります。
カーブについては人それぞれの物差しがあるかと思いますが、私の場合はこちらのカーブが聴感上にかなり近いと感じています。

900STだと50Hz以下が落ち込んでくるところですが、m70xはそこもよく出ていて、1k~3kもこちらの方がよく出ています。

beyerdynamic DT1770PROはこれよりもローは出ているので、どちらかというとCD00STタイプのヘッドホンと言えるでしょう。

M70xをチェック

再生音源については、スタジオで録音した24bit48kのオリジナル音源をメインに使用。

ドラムオンリー音源
ベースオンリー音源
ギターオンリー音源
ピアノオンリー音源
+ライブ用に作ったSE

 

私的な旬の音楽からは

BiSH
「PAiNT it BLACK」

KANA-BOON
「フルドライブ」

PENGUIN RESEARCH
「敗者復活戦自由形」

OLDCODEX
「problem」

上記の音源を使用。

■装着に関して
装着感は良好。
CD900STだと装着したまま2時間くらいもすると耳が痛くなってくるのですが、こちらは長時間の装着でも全く問題なし。

■遮音性・音漏れ
耳を覆う形なので遮音性・音漏れは良い方。
DT1770PROの方が遮音感はありますがじゅうぶん。
イヤーパッドとヘッドバットはパーツだけ購入して自分で交換が可能です。

■ケーブル
ヘッドホン側は2.5mm3極ケーブルになっています。
バランス接続はできなそう。

サウンドについて

レコーディングやミックス用途のモニターヘッドホンなので、一般的なリスニング用ヘッドホンよりもかなりハイが出て、びっくりする程低域が出ないという印象をこの手のヘッドホンに慣れてない方は受けると思います。

ですがモニター用としては全体的にバランスがよく、どの帯域もきちんと聴こえます。
リバーブ等空間の把握も良好です。

まさにこれぞレコーディングモニターという感じですが、このバランスならミックスでも使えるなと思いました。

音場・サウンドステージはCD900STよりは広めですが、耳に近いタイプの音。
広いといってもDT1770PRO程ではありません。

印象としてはCD900STをオーテク流にブラッシュアップしたらこうなったという印象ですが、使いやすいと思うのはCD900STの方だったりします。

リスニング用としての評価

リスニング用途として考えた場合は、すっきり系のヘッドホンで、かなり音源の粗が目立つ、ミックスの良し悪しが目立ってしまうヘッドホンです。

それと繋ぐアンプや聴く音量によって評価がかなり変わりそうです。

低音を基準のボリュームをあげていくと高域が耳について痛くなる。
高音を基準にボリュームを調整すると低音が物足りなくなる。
なので程々の音量で聴くのがベストだと感じます。

音量かなり大きめでモニター系が欲しいなって人はM50xの方が合うと思いますが、モニター用という点ではM70xには及ばないと思いました。

他に900ST系の音だとHA-MX10-BやDT770も近いでしょうか。
方向的には同じだけどメーカーごとの細かい音の違いがあり、面白いと感じますね。

最近のモニター系ヘッドホンですとTAGO STUDIO T3-01等も結構売れているみたいですが、あちらはM70xよりもM50xやHA-MX100-Z、HD6MIXの方の系統かなと思います。

音源のバランスにもよりますが、中低域強めで高域はそこまで強くない音源ですと、耳も痛くないバランスで音源のすべての音を聴き取る事ができます。

リスリングで使う時は低域をちょっと強めに、高域をやや弱めにしてみて使うのもありかもしれませんね。

◆まとめ◆

さすがのフラッグシップと感じました。
Mシリーズは正直私が使うモニターとしては、好みではない適していないなと感じていましたが、M70xだけは別です。
上のグラフを見てもらえるとわかるかと思うのですが、エティモのER-4S的なフラットではなく、全部の帯域がきちんと出ている上で、更に出てほしい低域や高域が出ているので全体のバランスが良く、扱いやすいです。

実際にヘッドホンだけでレコーディング、ミックス、マスタリングを済ますという事はプロではまずありませんが、DTMが趣味、ボカロP、スピーカーで音が出せない環境だといった場合には、ヘッドホンでの作業で追い込むというのは必然となってきますが、モニターヘッドホンの代名詞でもあるMDR-CD900STだけで素直にミックスやマスタリングをしてしまうと、実際のリスニング環境では低域が強いなとか高域が弱いなとかなりがちです。

リスニング系の安価なヘッドホンはロー増しでハイを落としているものが多いので、そのようなヘッドホンで聴くと製作時よりも音のバランスに差が出てしまいます。

ですのでその差をきちんと把握した上で作業する事が求められるのですが、M70xの場合も同様です。

レコーディングで使っても良し。
ミックスで使っても良し。
CDにしないのならマスタリングで使ってもいいでしょう。

と作業する前提で書いてしまいましたが、リスニングとして使う場合も私はとても優秀なヘッドホンだと思います。

モニター系のヘッドホンだからとCD900STを買ってローが弱い、ハイが多いと嘆いている方にはまさにM70xをおすすめします。