ヘッドホンアンプは必要?使う理由は? / B.A.L

■はじめに

http://en.goldenears.net/

こちらのGOLDEN EARSに掲載されている複数の記事の内容を、時代の変化、私の解釈を踏まえて翻訳したものになります。
自分達用のまとめ的なものなので、必ずしも正確ではないことをお伝えしておきます。
詳細を知りたい方は元サイトにで読んでみてください。

■ ヘッドホンアンプを使用する理由は?

「再生機器で不足している音量を、音楽を聴くために必要な音量を確保するために」です。

「なにいってんの? ヘッドホンアンプを使用したら音が変わるからでしょ…」とお考えの方は必ずいらっしゃると予想します。

それは ヘッドホンアンプを使用すると、音が変化する「場合もある」という事なのです。

つまりそれは、「音が変化しない場合もある」ということです。

そして ヘッドホンアンプを使用して音が変化するという事は、必しもず良くなるというわけではありません。

なぜかと言うと音がどう変化するかは、 ヘッドホンアンプの影響よりもイヤフォンやヘッドフォンのインピーダンス特性と、より多くの関連があるからです。

■インピーダンスとアンプとの関係

イヤホンやヘッドホン製品を見ると、スペックにインピーダンスというものがある事に気づきます。

インピーダンスとは、簡単に説明を触れる電流が流れるのを防ぐ(抵抗をする)抵抗成分のことです。

ヘッドホンやイヤホンで言うとbeyerdynamic T1のような600Ωの高Ω製品からWESTONE W80みたいに10Ωといった低Ωの製品まで非常に多種多様です。

そして製品のスペック上で50Ωと表記がされていても、実際の全周波数領域では、これらの抵抗成分が常に一定の値を持つことではありません。
大抵は1kHzでの値が記載されています。

上のグラフは、Sleek AudioのSA6というイヤホンのインピーダンスのグラフです。

SA6のスペック上のインピーダンスは1kHzを基準に50Ωで表記がされていますが、実際には上記のグラフのように低音側はインピーダンスが低く、高音側はインピーダンスが高くなっています。

このような製品の場合、低音と高音のインピーダンス値が非常に多くの違いがあります。

一般的に電圧増幅をする据置型 ヘッドホンアンプと、一般的に電流増幅をするDAPとの接続をすると音の違いが顕著に現れるでしょう。

つまり電流増幅をするDAPを使用した場合、他の帯域に比べて高音が減り、電圧増幅をする ヘッドホンアンプでは、他の帯域に比べて高音が増えます。

SA6の例を通して調べてみると ヘッドホンアンプを使用した音の変化は、 ヘッドホンアンプを使用したから音が良くなったと表現をするよりも、ヘッドホンやイヤホンのインピーダンス特性に沿って変化が生じたものだと言えるでしょう。

実際にはSA6のように ヘッドホンアンプを使用しても音が大きく変わるケースは、それほど多くありません。
(いわゆる多ドラ、マルチBAのイヤホンは大きく変わるケースにあてはまるでしょう)

インピーダンス特性の変動が大きくないイヤホン(ヘッドホン)を使用した場合、電流増幅をするDAPで測定を行った場合と、電圧増幅をするヘッドホンアンプで測定を行った場合を比較してみると、ほとんどの場合はあまり違いはありません。

■ 再生機器による音の変化について

ヘッドホンアンプを使用する事には、2つの利点があります。


DAPやスマホ直結時よりも大きな音量で音楽を聴くことができる。


ハイエンドの ヘッドホンアンプの場合、出力コンデンサの容量が大きいため、低音の減少がDAP接続時よりも少ないという事です。

①の内容は、当然の話なので、②の出力コンデンサによる低音の減少にのみ言及します。

一般的なDAP製品の場合、出力段にカップリングコンデンサを使用してDC成分(直流成分)を排除します。

なぜそうするか?と聞かれれば、機器の安定した動作が可能にするためです。
このようにカップリングコンデンサを有する場合、一つの問題が生じます。

カップリングコンデンサを付けると高音だけが通過可能なHigh-Passハイパスフィルター、つまり低音部がカットされる(減少する)フィルタが作成されます。

DAPまたは ヘッドホンアンプとヘッドフォンのインピーダンスが小さければ小さいほど、低音の減衰がますますひどくなります。
そしてコンデンサの容量が大きければ大きいほど、これらの影響を受けにくくなるのです。

一般的なDAPに接続する場合、低インピーダンス製品ほど非常に深い低音(100Hz以下の音)が小さく再生されます。
なのでDAPに直結して聴いた場合、力がないなという感じを受ける事もあるでしょう。

据置型 ヘッドホンアンプでは、出力コンデンサの容量がDAPに比べて非常に大きいため、このような低音の減少がとても少ないのです。
つまり相対的に低音部、特に非常に低い低音部がよく再生がされるので、力強いと感じられるでしょう。

しかし、これらの低音の減少もすべてのDAPで共通的に発生することはありません。

このような特性のDAPに繋ぐ場合は、接続される負荷のインピーダンスに関係なく、常に一定にフラットな音を再生してくれます。
ですので、いくらインピーダンスが低い製品を接続しても、低音の減少現象は発生しないというわけです。

このような音の変化は、カップリングコンデンサの容量に応じて、またはアンプの動作によって発生するのであって、 ヘッドホンアンプを使用したからといって、無条件で音が良くなるわけではないということは分かってもらえたでしょうか。

据え置きヘッドホンアンプだからといって低音の減少が少ないとも限りません。
むしろ低コスト ヘッドホンアンプの場合には、むしろ低音成分を無条件でカットしてしまう製品もあります。

これらの低コストの ヘッドホンアンプ製品を使用すると、むしろ本来の低音が減少した音を聞くことができます。
そして、このような音を見事に表現をして、あっさりした音、寒色系と表現される方もいらっしゃいますが、それはこのような要因から来る力が抜けた音です。

上記の内容をお読みになっ方々が、どう理解をされたか分かりませんが、私の推測ではおそらくほとんどの方は、大抵は「 ヘッドホンアンプは必要ありません。」と思われるのではないでしょうか?

確かに実際に一般的なほとんどのイヤホン・ヘッドホン製品で 単体のヘッドホンアンプまでは必要ないでしょう。

ただしこれは、「ほとんどの」という前提条件があります。
つまり、ほとんどの場合には、 ヘッドホンアンプの使用により音質向上を期待することは難しいが、「ほとんど」から外れた製品の場合には、 ヘッドホンアンプを使用すると、音質上で有利な場合があります。

まず、「ラインアウト出力+高性能のアンプを使用する」などの特別な場合には、 ヘッドホンアンプの使用により音質向上することもあります。

次にヘッドフォンの開発方向が「 ヘッドホンアンプの使用を前提に開発された製品」の場合には、 ヘッドホンアンプを使用することをお勧めします。

上記の2つの場合について説明します。

図1は、理解を助けるために非常に簡単に記したもので、製品の特徴や設計の方向によって異なる場合があることもあります。

一般的なDAPは、エンコードされたファイルを読み込んだ後、ファイルフォーマットの種類に合わせてデコードをしてこの時作られた信号に、各メーカーの音場効果を適用した後、これをヘッドホンやイヤホンを駆動する簡単電流増幅または電圧増幅の過程を経ます。

この時、ラインアウト出力信号の場合、一般的に1Vrmsの大きさで出力がされますが、これらの大きさの信号は、一般的なハイファイスピーカーの音を大きく再生できる大きさの信号はありません。

ですのでハイファイスピーカーの場合、別のアンプを使用して信号を再び増幅しなければならないわけです。

しかし、イヤフォンやヘッドフォンなどの製品は、機器の出力がそれほど大きくなくても、比較的音量の確保が容易です。

そして、実際にはほとんどのイヤホンまたはヘッドフォン製品は別途のアンプなしでライン出力にイヤフォンやヘッドフォンを直接接続しても、ほとんどの場合は、比較的大きな音の大きさが再生されます。

しかし、ラインアウト出力は、一般的に(製品設計に応じて異なる場合があります。)電圧信号のみ規定値(1 Vrms)に合わせただけで、十分な電流を供給することができる能力まで備えていません。

ほとんどのDAPはラインアウト信号を作り出した後も、DAPに内蔵されたアンプを使用して十分な電流を供給するように電流増幅をもう一度行います。(製品設計方式によって差がある場合もあります。)

そして、この部分(ラインアウト出力を使用して)DAPに内蔵されたアンプの性能よりも良い、外付けの高性能のアンプを使用している場合には、DAPと直結して音楽を聴くよりも良い音質で音楽を聴くことができます。

問題は、ライン出力をサポートしているDAPが多くなく、高性能の ヘッドホンアンプがそれほど多くないため、これらの組み合わせの機器を構成することは非常に困難である。

しかし、これらの組み合わせの機器で構成する理論的に音質向上が可能であるのです。
(今の時代では多数の機器がライン出力をサポートしているので向上可能と考えられるでしょう)

■ ヘッドホンアンプの使用を前提に開発された製品

ヘッドフォンの場合、振動板が駆動されている方式はいくつかありますが、一般的なダイナミック型製品の場合、振動板が動く力は磁束密度(B)の大きさ、線に流れる電流(I))の世紀には、磁場の中にある導線の長さ(L)に比例して力が生じます。)
フレミングの左手の法則を考えて見ればわかります。


および関連公式は以下の通りです。
F = B * I・L・sinθ

F:力の大きさ
B:磁束密度
I:電流
L:導線の長さ
θ:導線と磁場との間の角度

上記の公式によると、ヘッドホンの振動板の制御を強くするには1磁束密度を高めるために強力な磁石を使用したり、2電流の強さを大きくするためにアンプを使用したり、3磁場の中にある導線の長さを長くするために導線の太さを最大限に細くしたりします。

ところが導線の太さの場合、細くなる細くなるほど多く巻けるので、磁場の中に入ることができる導線の長さは増加に反して導線の断面積が狭くなって、長さが長くなるので導線自体の抵抗値は、大きくなって流れることができる電流が小さくなります。

ここでヘッドフォン製品を設計する人の哲学に沿って製品の方向性が決定されます。

別のヘッドホンアンプを使用を前提とするコンセプトの製品にするのか、スマホでも十分な電流が流れるようにして簡単に駆動可能な低インピーダンス製品にするのかついては、どっちかの方がより良いということではなく、設計の方向性の問題と考えてください。

車で例えるをすると、同じ目的のスポーツカーを製作してもLotus社の軽量スポーツカーのような車の車体を軽く作成(比較的)小さなエンジンで製作をするのか?

それとも日産のGT-Rのように自動車の車体を重く(堅く)作成大きな(力の良い)エンジンを使用するかの観点の違いくらいだと思ってもらえれば良いでしょう。

それぞれに長所と短所が存在します。

昔beyerdynamicのT1製品発表会に出席した時に「T1の場合は、導線の太さを細くして(インピーダンス600Ω)ヘッドホンの駆動力を高める方向に設計がされた製品」だと関係者の方が言っていました。

ですのでT1と同じコンセプトの製品では、 ヘッドホンアンプを使用することが音質的に有利になるでしょう。

ケーブルによる音の変化、アンプとイヤホンの間のマッチングによる音の変化、 ヘッドホンアンプの使用するかどうかなど、少し難しいテーマは単純に白黒で判断をするのではなく、それぞれの状況に合わせて、全体的な理解をして楽しいオーディオライフを送ってくれたらと私は思います。

■音量の大きさが決まる要素

1.アンプ(DAP等再生機器)の出力
2ヘッドホン(イヤホン)のインピーダンス
3.ヘッドフォン(イヤホン)の能率

1.アンプ(DAP等再生機器)の出力
ポータブルDAPは、製品ごとに最大出力が異なります。一般的に、COWONの製品が比較的出力が少し大きく、SONYの製品が比較的出力が少し小さいです。(最近発売となる製品は、テストをしてみなくてどうか分かりません。)ので、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴く場合には、当然のことながら、出力が大きい製品との接続をして音楽を聴くと、より大きな音の大きさで音楽を聴くができます。

2.ヘッドホン(イヤホン)のインピーダンス
一般的にインピーダンスが大きい製品がアンプに繋いだ場合、アンプから出力可能な最大電流の値が小さくなるので、アンプの出力が小さくなります。

例えば同じアンプ100Ωの負荷で0.5Wの出力を出すことができるアンプ(DAP)があるとすると、200Ωのヘッドフォンが接続されている場合、0.25Wしか出力ができなくなります。(実際には少し異なります。)

アンプの立場では、インピーダンスが大きい製品との接続がされると、最大出力が小さくなるので、音が小さくなることが正しいですが、これらの部分は、アンプから見た場合の話で、システム全体の観点から見ると、話が変わります。

実際に再生される音の大きさは、製品の能率に関する部分まで考慮しなければいけません。

3.ヘッドホン(イヤホン)の能率
製品の能率と簡単に言えば、ヘッドフォンで「同じサイズの信号を印加したときに再生される音の大きさがどうか」を指します。
すなわち、製品の能率が良い製品は、同じ製品、同じボリュームでも能率が良くない製品に比べて音が大きく再生されます。

■製品仕様に出てくる能率

一般的に高インピーダンスのヘッドフォンを使用する場合は、アンプから見た場合は再生可能な出力が小さくなりますが、ヘッドフォン側から見ると、ドライバーのコイルをもっと風邪のため(磁束密度の増加)製品の能率が良くなります。

例えばbeyerdynamicのDT880は250オームであり、同社のT1は600オームであるが、同じボリュームでもT1の方が音は大きい。

T1はボイスコイルの太さを細くしてDT880のユニットよりも密に多く巻いたので、磁束密度を高めることによって、DT880より能率が良いユニットを作ることができたのです。

そしてこのような理由から、600ΩのT1の方がインピーダンスがより低いDT880(250Ω)よりも大きな音が再生できるわけです。

音の大きさは、以上の3つの要因を考慮する必要があり、考慮することによって客観的な音の大きさを知ることができます。

実際にメーカーサイトで記載されている、音の大きさと関連がある製品のスペックのインピーダンスの部分は、ほとんどのインピーダンスのグラフの最小値で表記をする場合が多いです。
周波数応答特性でもそうなのですが、実際の製品の効率を正確に表記する(特性データを載せる)会社がほとんどありません。

様々な数値から計算をして、実際に再生される音の大きさを知ることはほとんど不可能です。

メーカーの仕様表記がメーカーごとにすべて同一の基準+実際に測定された値と表記をすると、単純な計算でも知ることができるのでしょうが、現実はそうではありません。

時々計算をした結果、(音の大きさ)が、実際の音の大きさと合わがないと場合、おそらくメーカーの誤った仕様表記(能率部門)によりそうなるのです。

■結局ヘッドホンアンプは必要?

音量の問題で「ヘッドフォンアンプを使用する必要がか、あるいはないか?」の判断は、上記の内容だけでなく、個人的な好みの部分まで考慮をする必要があります。

仮にすべての人が同じ音量で音楽を聴く場合は、非常に単純にその「基準音圧を超えることができているのか、ないのか」に応じて「ヘッドフォンアンプが必要あるが、ない」の単純な判断(音量だけで判断した場合)が可能だが現実はそうではありません。

一部の人は、全体の100段階のボリュームの20で音楽を聞いてくださる方もあり、またある人は全体の100段階のボリュームの80で音楽を聴く方もいらっしゃいます。

さらに、同じ人でも静かな室内で音楽を聴く場合と騒々しい屋外で音楽を聴く場合では求める音量が変わります。

同じヘッドフォンでも、人によっては、周囲の環境に応じて必要な音量がすべて異なるため、ヘッドフォンアンプが必要か否か?の考えは人それぞれ感じる程度がすべて異なります。

また、Aというヘッドホンを使用していたとしても自分のリスニング音量が変わればラウドネス効果によって低音、高音のバランスが変わってしまいます。

結論は、一度ヘッドフォンを購入した後、自分の求める音量で聞いてみて、必要に応じアンプをさらに購入されることが最も確実な方法です。